シンポジウム等

言語社会心理学研究会 発足記念シンポジウム
 「自然会話分析と言語社会心理学」 を開催しました!

主催:国立国語研究所 日本語教育研究領域、言語社会心理学研究会
日時:平成30年7月14日 (土) 13:00~18:00
場所:東京外国語大学 研究講義棟 115教室 (東京都府中市朝日町3-11-1)

【プログラム】

第一部 講演 13:00~14:50

13:00~13:10 開会の辞
宇佐美 まゆみ (国立国語研究所)

13:10~13:30 「言語社会心理学研究会立ち上げについて (趣旨説明) 」
宇佐美 まゆみ (国立国語研究所)

13:30~14:10 基調講演「言語への社会心理学的アプローチ」資料
岡本 真一郎 (愛知学院大学)

言語的コミュニケーションに対する,社会心理学的な観点からのアプローチについて述べる。具体的現象としては,他者の領域に関わる表現やアイロニーを取り上げたい。これらはポライトネスとも関わる問題である。実験的な手法を用いることにより,状況的要因を整理してその影響を体系的にできる,直感的な適否の判断に統計的なデータを加えることにより,表現の状況的使い分けに関してより精密な議論が可能になる,ということを指摘する。そして,社会心理学的手法の利点を言語行動の研究に生かしていく可能性について論じたい。

14:10~14:20休憩

14:20~14:50 講演「自然会話コーパスへの言語社会心理学的アプローチ」
宇佐美 まゆみ (国立国語研究所)

言語への心理学的アプローチというと,実験的な手法や質問紙調査がイメージされやすい。事実,心理学分野において,自然会話コーパスのデータを使った研究というのは,ほとんど見られないと言っても過言ではない。しかし,心理学的アプローチというものを,「人間の探究を目指す,実証的アプローチ」というふうに読み変えると,「会話の分析」についても,会話データにコーディングを施し,数量的に処理することによって,記述統計量を算出したり,統計的検定を行うなど,より実証的な研究を行うことは可能である。ここでは,「言語行動を通して,社会の中に生きる人間」を探究することを目的とする「言語社会心理学」の位置づけを示した上で,「自然会話コーパスへの言語社会心理学的アプローチ」について論じる。

14:50~15:00休憩

第二部 第8回BTSJ活用方法講習会 15:00~18:00

近年,自然会話をデータとする様々な観点からの研究が増えてきていますが,会話の文字起こし作業には膨大な時間と労力がかかります。特に会話を定量的に分析する場合,大量の文字化資料をコーディングし,それらの分析項目を集計して統計処理を行うといった一連の手順を踏むため,細かく精緻な作業が求められます。このような状況を踏まえて,自然会話の文字化資料作成,及び,定量的な分析を効率的に進めるために開発されたのが,基本的な文字化の原則 (BTSJ : Basic Transcription System for Japanese) に基づいた『BTSJ 文字化入力支援・自動集計・複数ファイル自動集計システムセット』 (自然会話分析のための文字化入力支援と基本的な分析項目の自動集計ツール) です。
本システムは,エクセルが使える方であれば,どなたでも簡単に操作することができます。本システムを用いると,入力支援機能などによって効率よく文字化ができ,比較的量の多い複数の話し言葉データのコーディングを自動集計することができます。また,BTSJ とは異なる方法で文字化した資料をテキスト形式でお持ちの方は,一部修正作業を行うことによって,本システムを用いて分析項目を自動集計することが可能になります。そのため,会話の分析時間を格段に短縮することができ,会話を多角的に考察することが可能になります。

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